紀南抄4月20日付

2017-4-19

 16日に滋賀県で開かれた地方創生に関するセミナーで、山本地方創生相が「一番のがんは文化学芸員と言われる人たちだ。観光マインドが全くない。一掃しなければ駄目だ」と述べ、問題視されている。「観光マインド」とは、曰く「観光客に対してきちっと説明をする」「観光客が喜ぶようなパフォーマンスをやる」ことだそうだ。
 騒動を見ながら、以前新宮市であった熊野信仰についてのシンポジウムを思い出した。「熊野の素晴らしさを今後どのように外国人観光客にアピールするか」と尋ねる県の文化財担当の職員に対して、講師の民俗学者が「熊野の素晴らしさを観光客にわざわざ説明する必要はない。むしろ逆効果だ」と切り返した。このやりとりは端的に行政と学問の立場の違いを示している。
 学芸の「芸」の字は「藝」の略字であるが、本来は別の文字だ。「藝」は人がかがんで土に木を植える様子を指し、「芸」は防虫に利用された植物ヘンルーダを指し、草を刈るという意味がある。
 文化振興の鍵はこの真逆の意味を持つ「芸―藝」をいかに統合できるかにあろう。学芸員はいわば自らの土壌を耕し、その地に木を植えている。行政にはその行為を見守り育て、適切に刈り取る「芸」が求められる。

【K】

社説

  1. editorial

新聞広告ガイド

印刷各種承り中

ページ上部へ戻る