紀南抄2月17日付

2017-2-16

 島崎藤村は『千曲川のスケッチ』で、長野県の千曲川流域の風物を丹念に描写している。藤村は古城址からの「茂った青葉のかげから、遠く白い山々を望む美しさ」を讃え「日本アルプスの谿々(たにだに)の雪は、ここから白壁を望むように見える」と喩えている。
 19日に那智勝浦町役場周辺で行われる「南の国の雪まつり」。このイベントの主役である雪山の雪は、そんな「白壁」の世界からやってくる。南国では決して味わうことのできない世界の出現に、子どもならずともつい心が躍ってしまう。
 雪を送ってくれる白馬村は太地町の姉妹都市だ。両町村は、毎年小学生の研修旅行で夏の海、冬の雪山を訪問し、互いにとっての「異世界」の体験を通じて風土と文化の多様性を肌で学習している。
 先日太地町教育委員会である話を聞いた。今月白馬への研修旅行に行った太地小の女子児童が到着後すぐにインフルエンザを発症し、病状を案じた両教委は対応を協議した。すると白馬村側から職員が車で中間地点の名古屋まで送り、太地側で引き取って家に帰すという案が出され、翌朝に早速実行されたのだという。
 異なる風土や文化を尊重し、互いが歩み寄る。この「友好のリレー」の美談から、友好関係の理想的な在り方を学びたい。

【K】

社説

  1. editorial

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