紀南抄12月5日付

2018-12-4

 新宮市熊野川町九重にある「土砂災害慰霊碑」の保存などを目的とする調査が行われた。どのように保存するのか。そして、先人が遺した記録を後世のわれわれがどう受け止めていくのか。侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が現場で交わされていた。その際、調査を担当した東京文化財研究所の朽津信明室長が興味深く、また、示唆に富む話をしてくださった。
 嘉永7年(1854年)11月の大津波の被害は甚大で、その模様を記録し後世に対する戒めを伝える大阪市浪速区にある「安政大津波碑」(安政2年7月建立)。碑文の最後に「心ある人は時々碑文が読みやすいよう墨を入れ、伝えていってほしい」(現代語文)と刻まれている。今も地域の人たちが石に刻まれた教えを守り、墨を入れて文字が消えないように石碑を守っている。また、この碑には「海辺や大きな川や池のそばに住む人は用心が必要である」。この地に見事に当てはまる。
 九重でも保存、墨入れ儀式などへの取り組みが始まっているが、先人の遺訓を、心に刻むことこそが大切に思えてならない。

【茂】

社説

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