紀南抄12月3日付

2016-12-2

 「実るほど頭をたれる稲穂かな」。尊敬する人物が大切にしている言葉。稲が実を熟すほど穂を垂れ下がるように、人も人格者や学問にすぐれているほど謙虚であるというたとえ。当方が未熟な態度をとったとき、幾度となくこの言葉を送られる。
 新聞記者は花形的な職業。駆け出しのころ、他紙に先駆けて書き上げた取材記事が紙面のトップを飾り、評価の声をいただくたびに充実感に浸りながらスクラップしていた。未熟者のくせにだ。先輩記者によると、30年ほど前は食事の接待を受けることもたびたびあったという。さすがに今の時代にそのようなことはないが、取材相手から感謝されることは多い。一方で、商店主らに頭を下げて広告掲載をお願いしたり、購読者宅へ集金に回ったりする営業部員は縁の下の力持ち、いわゆる黒子役。新聞社はその両輪で成り立っている。
 行政や議会に対する取材は是々非々の姿勢で臨んでいる。住民の代弁者であり、行政の監視役としての務めも果たさなければならないからだ。「何かしたら記事にされる」。公人からある意味恐れられるような存在を目指したい。
 同時に、普段は謙虚な気持ちを忘れず、誰からも慕われるような記者でなければならないと思っている。そうすれば購読者との距離がもっと縮まる。

【F】

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