紀南抄10月30日付

2016-10-29

 子どもの命を守る責任の重さが教育関係者に示される判決となった。東日本大震災の津波被害で児童74人が犠牲になった宮城県石巻市の大川小学校。このうち23人の遺族らが、学校側の避難誘導などの誤った判断が招いた「人災」だと訴えていた裁判で、仙台地裁は市と県に約14億円の損害賠償を命じた。
 判決は、津波襲来時の学校による児童・生徒の避難誘導に一定の責任があると認めるもので、近い将来の南海トラフの地震・津波発生が予想される当地方にとって、学校防災のあり方を考える契機になりそうだ。
 命の重さに優越はないが、自ら判断し行動できない子どもらに関しては、必ずしも保護者だけでなく、その時間帯に預かる大人が守る必要がある。学校現場には、子どもたちの命を守る行動をとるため、迅速で的確な判断が求められるが、有事の際、誰もが平常心ではいられない。冷静な判断をするためには、訓練を繰り返すことで子どもも大人も避難への共通認識をもち、体に覚えさせることが大切になる。
 29日付9面で報じた通り、本紙関係の特に浸水想定区域内にある学校では、高台への避難訓練を定期的に実施している。大きな代償を教訓に「犠牲者ゼロ」を目指した取り組みを加速させることは教育現場の責務になる。

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