紀南抄10月11日付

2018-10-10

 今年1月24日、新宮市仲之町出身の医師・大石誠之助が同市の名誉市民に選ばれた。アメリカで医学を修めて新宮に戻った大石は、1896年4月、仲之町384番地に「ドクトル大石」という看板を掲げて医院を開業。2年後、シンガポールで脚気やマラリアに関する研究のため医院を閉鎖した。1900年にインドのボンベイ大学でペストなどの伝染病の研究をしていた際、差別や貧困にあえぐ人たちがいる現実に直面し、社会主義思想に関心を持つようになった。
 大石とゆかりのある人物のひとりに、社会主義者・幸徳秋水がいる。秋水は明治41年7月に新宮を訪れて大石の家に滞在して交流を深めた。その後、大石は上京し、医療道具などを探すかたわら、幸徳秋水を訪ねた。社会主義弾圧の流れの中、その時の冗談交じりの雑談などが天皇暗殺を計画したととらえられて検挙され、死刑などが科せられた。
 大石は慶應3(1867)年生まれで、同級生には夏目漱石、正岡子規、南方熊楠などそうそうたる名前が並ぶ。いずれも日本の歴史や文化に大きな影響を与えた人物ばかりだ。

【も】

社説

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