サービス維持に広域連携

 自治体の枠を越えて複数の自治体が連携・協力して事務処理を行う広域行政。人口減少と過疎高齢化が進む当地方で、あらゆる住民サービスの維持や、地域の活力を見いだすための有効な手段だ。
 太地町にある特別養護老人ホーム・養護老人ホーム南紀園は、新宮市と東牟婁郡の5町村で設置する「東牟婁郡町村新宮市老人福祉施設事務組合」が運営。特養に関しては介護保険適用のため運営に対する市町村の分担金はないが、平成24年度事業(25年度繰り越し)の施設建設では、建設費の一部を市町村が分担した。養護に関しては、措置費を分担金でまかなっている。近年の財政状況は、27年度まで黒字で推移、28年度決算は確定していないものの、介護保険制度改正の影響が心配というが、基金のやりくりで対応できる範囲で安定している。
 施設利用状況は、特養100床のうち4月末現在で95人が入所している。住所地の内訳を見ると、那智勝浦町が最も多く44人、次いで太地町27人、新宮市18人、串本町5人、北山村1人。一方、養護(50床)の割合は新宮市が高いという。
 2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、今後ますます医療や介護の重要度が増す状況となるのは必至。住み慣れた地域で、必要な医療・介護サービスを継続的・一体的に受けられる「地域包括ケアシステム」の構築に各自治体が動いているが、広域連携を視野に入れることが住民にとってよりよい形になる。
 連携をスムーズに行うには、まず、今ある自治体病院のあり方を考えなければならない。那智勝浦町は新病院を建設中だが、以前から課題としてある新宮市立医療センターとの役割分担はどうなるのか。また、住民にとっての「かかりつけ医」である開業医(医師会)にも働きかけることが必要。和歌山、三重の県境を挟みながらも生活圏が同じという地域の特性を考えると、他の地域より一層広域化への意識は高く持つことが求められる。
 そのためには第一段階として、和歌山、三重の両県が連携し、この地域としてのモデルケースを示す。関係する官民それぞれの機関が集まり、協議する中で役割を明確にしていくことが、連携強化への近道になるだろう。
(平成29年5月14日付 紀南新聞掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

社説

  1. editorial

新聞広告ガイド

印刷各種承り中

ページ上部へ戻る