空き家の抑制へ対策急務

 人口減や高齢化で空き家の数は全国的に年々増加の一途をたどっている。空き家の処分は所有者が責任を持つことが基本だが、危険な家屋の撤去や空き家の利活用を進めていくには、状況に応じて行政の支援が必要になる。倒壊の恐れなどがある空き家について市町村が所有者に撤去を命令できる「空き家対策特別措置法」の施行から間もなく2年が経過する。新宮市ではこれを適用して約10件の空き家を解体した。
 新宮市は平成28年度、市内の全戸対象に実態調査を行った。空き家は1000軒以上あり、その中で所有者が特定できたものは約800軒。その所有者に今後の物件の利活用についてのアンケートを送ったところ約5割から回答を得た。29年度でこれを分析し、今後の空き家対策を策定していく予定だ。
 利活用を進めるにあたっての支援としては、空き家情報を紹介する「空き家バンク事業」が代表的。紀宝町や御浜町をはじめ三重県内の多くの市町でこの事業を実施している。紀宝町は平成27年度から開始し、2年間で19軒の登録があった。このうち賃貸3軒、売買4軒の契約が成立。現在は交渉中1軒を含め9軒が登録されている。町企画調整課の担当者は、「町内で住宅を探している人は多く、空き家バンクへの需要は高い」とする一方、「所有者は売買(契約)を望む人が多く、賃貸を望む利用者との間でバランスが必ずしも整っているわけではない」と指摘する。
 新宮市の場合、県の空き家バンク事業に参画しているが、売買・賃貸契約に行政が介入するにあたっては、建物の安全性を明確にする必要がある。市管理課の担当者は「耐震基準を満たしているかどうか、診断や補強をしなければならない空き家が多いのでは」と、利活用へのハードルの高さを指摘する。
 いずれにしても空き家は今後も増加していく。台風や地震などの自然災害に加え、火災の危険、また治安環境の悪化などに常に懸念しなければならない。空き家増加を少しでも抑制していくために、地元材を使っての建築に対する補助があるように、建物解体への補助制度を創設することも必要ではないか。経済的負担が軽減されれば所有者も判断しやすくなるだろう。
(平成29年4月16日付紀南新聞掲載)

 

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