近畿・中部 足並み合わせて

 和歌山県と三重県の間を隔てる熊野川。県境になっているだけでなく、より大きな行政区画といえる、近畿地方と東海地方の境にもなっている。このため、特に熊野川を挟んで、利便性が大きく損なわれている例も多い。
 よく聞く話が、熊野川にかかる橋の数。旧熊野大橋、紀宝バイパスと接続した新熊野大橋のほか、新宮市熊野川町と熊野市紀和町地区を結ぶ三和大橋まで、橋がない。まちの規模を考えると新宮市街地と対岸を結ぶ橋がもう一つあってもいいだろうし、利便性を考えると紀宝町鮒田地区から新宮市の相筋地区への橋は必要。相筋の堤防が整備されれば、相野谷方面からの車が市内に入るルートとして確立される。同一の県なら、早い段階で架橋されていたのではないか。
 川の整備自体、和歌山県と三重県で考え方が異なる。下流部は国土交通省が直轄管理で一本化されているが、5キロより上流は右岸が和歌山県、左岸が三重県の管理。砂利掘削を巡って、両県の“綱引き”があったこともある。
 このほど、国の平成29年度予算が成立地域住民が以前から建設を強く求めている熊野川河口大橋を含「新宮紀宝道路にも予算がついた金額は和歌山県側が11億円、三重県側が3億6000万円新宮市内では用地買収が終わった地区から工事を着手する方針。
 紀宝バイパスは昭和47年度に事業化。49年に用地着手し、実際に工事が始まったのは55年度。全線開通は平成25年6月。この間40年あまりが経過した。熊野川河口大橋は、大規模災害時に「命の道」としての機能を持つ。それだけに、単なる利便性にとどまらず、工事の早期完成、早期供用開始を期待する住民は多い。
 以前から、関係者が熱心に要望活動を展開している。行政区画が違うため、和歌山県庁、近畿地方整備局(大阪市)、三重県庁、中部地方整備局(名古屋市)、そして国交省本省、和歌山県および三重県の関係国会議員など、要望先も多様だ。
 和歌山県側と三重県側で住民の温度差が異なることもあるだろう。事業を進めるにあたっては、近畿と中部の整備局が密接に連携を取り、足並みをそろえて早期の完成を目指してほしい。いわゆ「行政の縦割りによって工事が遅れることがないように期待する。
(平成29年4月9日付 紀南新聞掲載)

 

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