東日本大震災から8年
南海トラフ地震に備え
「1秒でも早く避難所へ」
雨天・夜間に津波避難訓練

 南海トラフ巨大地震の発生に備え、JR西日本和歌山支社は10日、那智勝浦町下里のJRきのくに線下里駅で、同町と合同の津波避難訓練を実施した。東日本大震災(2011年3月11日)発生から8年になることもあり、地域の自主防災組織を含め約160人が参加。緊急地震速報を受信し、緊急停車した車両からの脱出と津波避難場所までの避難を行った。

梯子を使用し 線路側からも避難

梯子を使用し線路側からも避難

 JR西日本は、津波警報発令時、乗客と社員の安全の確保を資する取り組みとして年に2回ほど避難訓練を行っている。今回、訓練が実施されたきのくに線は路線の大部分が海に面しており、津波による浸水が予想される。また、津波による浸水が予想されるJR東日本、JR四国、江ノ島電鉄も訓練に参加し、津波対策の参考とした。
 当日は夜間での実施のうえ雨天となり、悪条件での実施となった。下里駅手前(紀伊勝浦駅方面)で緊急地震速報を受信した列車は徐行し、運転士は列車を停車させる場所を判断した。今回は下里駅が近いことと付近に津波避難場所があることから同駅への停車を決めた。同駅に停車すると、ホーム側・線路側の扉が開かれ、乗客は一斉に非難を開始。ホームでは運転台に設置されたケミカルライト(化学発光による照明器具)を手に車掌が「津波が来ます、避難してください」と呼びかけ、笛を鳴らし進む方向を示した。また、線路側から避難した乗客は、乗降口に腰掛け線路上に飛び降りたほか、車両のデッキに設置されている梯子を使用し避難を行った。
 避難路では、段差など注意が必要な箇所にケミカルライトを置き危険を知らせたほか、「避難所まであと少しです、頑張ってください」と乗客を誘導する乗務員の姿が見られた。下里駅から避難場所として設定された下里中学校までの約200メートルの距離を安全を確認しつつ足早に避難した。
 JR西日本によると「緊急地震速報を受信した際は直ちに列車を停止させるよう協力している。また、当該線区が津波浸水域であった場合は速やかに避難を行うよう訓練を重ねている」と話し、「乗務員は線区内の避難所に足を運び、場所を確認している。不測の事態が発生した際には携帯端末を使用し避難所情報を確認する用意がある」と説明した。
 避難場所の下里中学校ではJR西日本和歌山支社・伊藤義彦支社長による講評が行われたほか、那智勝浦町の堀町長が訓練を振り返った。
 訓練に参加した宮井凛晴さん(新宮高校2年)は「電車通学のため電車に乗る機会が多く、いざという時に適切な行動をとれるよう訓練に参加した。津波はいつどのような状況で発生するかわからないので、夜間で雨天という状況での訓練はいい経験となった」と振り返った。
 訓練列車の乗務員で運転士の芝直也さんは「この線区は津波の到達が早いこともあり、いかに早急に避難していただくかが重要。常に、非常事態を頭の片隅に置いて乗務をしている」、車掌の阪本このみさんは「夜間のうえ悪天候だったので避難路は余計に暗かった。ケミカルライトを避難路において避難所の方向を後方のお客様にも伝えられるよう工夫した。少し速く走りすぎたと思うので、実際の避難の際はもう少し全体を確認できる速さで走らなければと思った」とそれぞれが話した。

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