自然エネルギーとの融合

 学校施設や地域の会館など、公共施設の老朽化が全国的に進んでいる。学校施設は1970年代前半の第2次ベビーブームに合わせて建てられたものが多く、地域の会館はそれ以上に古い建物が目立つ。本紙エリアの各自治体では、学校や庁舎など大勢が集まる公共施設から優先順位をつけて耐震補強や改修あるいは建て替えを進めているが、それぞれの財政事情もあり、順調に進んでいるところばかりではない。普段は住民のコミュニティーの場であり、災害時の指定避難所にもなっている地域の会館の中には、新宮市の王子会館や三輪崎会館など対策を急ぐべきものがあるのも事実だ。
住民の安全を第一に、必要なところに予算を投じていくのが行政の務め。とは言っても、限りある予算の中でやりくりするのは簡単ではないが、施設の建設や改修時のひと工夫で、初期経費はかかるかもしれないが、経常経費(ランニングコスト)を抑制することもできる。
三重県津市の総合的な屋内スポーツ施設「サオリーナ」(平成29年10月開館)は、メインアリーナに備える太陽光を反射パネルで取り込む「光ダクト」を採用している。晴れの日には照明なしでもスポーツが楽しめるという。さらに照明にはLEDを採用し、光ダクトと併用することで省エネを実現。電力と自然エネルギーの融合は経費抑制だけでなく環境にも優しいと評判だ。
また、学校への光ダクトの導入は建物の暗い箇所を明るくするという基本的な効果のほかに、省エネや環境に配慮した建築技術に触れることができ、環境教育の部分でも効果を上げているという。
当地方でも施設の大小にかかわらず、参考にできるのではないか。むしろ環境への配慮は行政が率先して取り組んでいくべきことで、欠かすことのできないライフラインである電気・ガスに、あらゆる自然・再生エネルギーを融合させた公共施設が理想。この地方は災害が起こる可能性が高いだけに、避難できたとしても電気・ガスがストップした避難場所が暗ければ住民の心境は計り知れないのではないのだろうか。まずは、各自治体の議員には先進地を視察し、調査・研究して欲しいものだ。
(平成31年3月9日付 紀南新聞掲載)
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