ごとびき岩を炎が照らす
約1700人 願いを松明に込め

 新宮に春を呼ぶといわれる、国重要無形民俗文化財指定の伝統の祭典「お燈祭り」が6日夜、新宮市の神倉神社で執り行われた。白装束を荒縄で締めた祈願者の上り子(のぼりこ/あがりこ)1703人が神倉山に上り、山頂境内の祠(ほこら)で古式にのっとり御神火を松明(たいまつ)に分け合い、一年の無事や所願成就を願った。午後8時過ぎの開門と同時に、松明を手にした上り子たちが一斉に駆け出し、538段の石段を下った。

1・1 今年のお燈祭りは、昼ごろまで雨が降り、足元の悪い中、斎行(さいこう)された。午後3時過ぎごろから、上り子らが新宮の街に出て、阿須賀神社、熊野速玉大社、妙心寺へ三社参り。松明同士を打ち重ねる「カーン、カーン」と鳴り響く甲高い音と「頼むでぇ」と互いのあいさつが各所で聞かれた。
 午後7時30分ごろに御神火がともり大松明に点火。神倉青年団の中山忠吏団長が捧持して中の地蔵にいったん下り、同所で待機する数十人の上り子が松明に火を付け、これを手に山頂境内へ。数分かけて全ての上り子が火を分かち合うと、神倉山の山腹は炎に包まれた。
 この後、介釈が山頂境内の門を閉鎖。上り子たちは願いを書いた松明が燃える煙の漂う中、しばらく待機。ほら貝の音を合図にゆっくりと下山。松明に火を付けたまま下りる人もいれば、残り十数センチとなった松明を持って下りる人もいた。
 太鼓橋の手前では、女性を中心に大勢が集まり、男衆の下山を見守り、家族や友人を見つけて「お帰りなさい」「お疲れ様」などと声を掛け、無事の下山を喜び合っていた。

1・2
厳かに奉幣神事

 上り子が下山した後、祭りを締めくくる「奉幣(ほうへい)神事」が行われた。熊野速玉大社の神職、神倉青年団ら介釈、宗教法人飛竜山神州院らによる奉幣行列が、行者の法螺(ほら)貝の音を合図に出発。まちを歩き、阿須賀神社と速玉大社に幣を納めた。
 祭りの喧騒から一転、静寂に包まれた夜道を、幣を携えた行列が粛々と進行。阿須賀神社、熊野速玉大社では、上野顕宮司が頭を下げて幣を神前に納め、祭りが無事終了したことを報告した。
 午後9時45分に阿須賀神社に到着すると、上野宮司が本殿前で捧持した幣を左・右・左と動かした後、正座して3度拝礼して納めた。ここで介釈の役割は終了。中山団長は「今年も無事に上り子に火を渡すことができてひと安心。大きなけが人もなく、無事に終了できて何より」と語った。
 残った神職と行者が速玉大社へ向かい、午後10時10分に到着。こちらでも同様に幣を納めた。上野宮司は「漆黒の中で御神火をいただくのがいかにありがたく大切で、また難しいことか」と一言。日常生活で起こし、使っている火とは全く異なることを強調した。

1・3

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