市民への情報公開すべき

 新宮市文化複合施設の建設を巡り、事業費の概算約63億円が妥当なのか、賛成派と反対派に分かれ活動しているが、互いに早期建設を求めることは同じ。ここに来て動きが活発なのはなぜなのか。そんな疑問をもつ市民も多いのでは。
 大きな理由のひとつに、国土交通省の都市再構築戦略事業(旧まちづくり交付金)の適用期限が2021年3月末に迫っていることがある。事業費の半分近くを充当する国からの交付金だが、これを適用させるためには市議会3月定例会で建設にかかる予算の承認を受け、すぐに工事発注をして進めないと2年後の完成は難しい。建設予定地から重要遺跡が発見され、当初計画から見直す必要が生じたことから、国に同交付金の適用を2年延長してもらったが、全国の自治体で同様の交付金を求める要望はあり、一度白紙に戻れば再び採択されるかどうかは不透明。市当局はこれ以上の延長は難しいと見ている。
 こうした状況を受け、お互いに"運動"を繰り広げているが、どちらに賛同するか、まずは市民が正しい情報を受け取ることが必要。市当局が概算約63億円の内訳をきっちりと説明すべきだ。
 市当局によると、都市再構築戦略事業の交付金は約25億円で、このほかに県補助金5億円、市の貯金にあたる基金(合併基金と熊野川関連施設整備基金)、借金にあたる起債(合併特例債と過疎債)を充当。※合併特例債と過疎債は地方交付税として約7割が市に戻る※。市の実質的な負担は約17億円と見込んでいる。
 「市民サービスが低下する」などの言葉だけがひとり歩きしても困る。文化複合施設の建設によって何らかの市民サービスがこれまでに比べて後退するのか、それとも過疎などのさまざまな問題で市民に負担をしいる場合であったとしても、どちらにせよ市民を無視するのではなく説明すべきでは。
 今回の賛否は政治決断の曖昧(あいまい)さが招いた問題ではないのだろうか。建設費の高騰や設計変更なども踏まえて、市長や市議会議員が、もっと積極的に行動してほしい。また、図書館を含む文化活動の場を多くの市民が待ち望んでいるからこそ、しっかりとした対応や決断を望む。
(平成31年1月19日付 紀南新聞掲載)
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