15周年の節目 活性化狙え

 2004年7月、熊野古道を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界文化遺産に登録された。和歌山、三重、奈良の3県にまたがる紀伊山地の自然がなければ成立しなかった「霊場」と「参詣道」、それらを取り巻く文化的景観が主役であり、世界でも類を見ない資産として価値が高い。
 登録初年度、2年目は大勢の観光客が訪れた。地元で開催される催しにも「世界遺産」を冠に入れるものが多く、住民への周知という部分でも一定の効果は見られた。しかし、登録から数年経過し、世界遺産に登録が他の地域でも見られるようになると、観光客数は伸び悩み、また、2011年の紀伊半島大水害では、古道でも被害が出るなど打撃を受けた。ここ数年はインバウンド(外国人観光客)の増加により回復が見られる部分はあるが、これを継続させることが必要だ。
 来年、世界遺産登録15周年を迎える。三重県と県内10市町の代表者による「熊野古道世界遺産登録15周年事業実行委員会」が20日、設立された。第1回会議で、官民一体となり、国内外への情報発信や次世代へ熊野古道などの地域の価値を伝えるため、協力して取り組むことを確認した。
 会議に出席した三重県の幹部職員が、南部地域の人口減少や若者の地域外流出などの懸念材料を示しながら、県として15周年を好機ととらえ、関係機関と連携しながら活性化に取り組んでいく考えを示していた。
 和歌山県や奈良県でも同様に記念事業の計画はあるだろうが、地域活性化は大きな柱にしてもらいたい。観光客の主目的は熊野古道であっても、食事や宿泊、土産のほか、周辺の観光施設に立ち寄ってもらえる努力がこれまで以上に必要。人口減少が続く当地方にとって、交流人口を増やして外貨を獲得するのは至上命題。ここを伸ばしていかないと、地域活性化にはつながらない。
 そのために、世界遺産の魅力を外に発信するのとあわせ、地元住民の認知度を高めていくことにも努めてもらいたい。そこに住む人たちがすばらしいと思う世界遺産であれば、観光客増加につながるだろう。
 15周年の節目は好機。来年1年はさまざまな場面で世界遺産を話題にしてもらいたい。
(平成30年12月22日付 紀南新聞掲載)

editorial-5-300x220

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

新聞広告ガイド

名刺印刷承り中

ページ上部へ戻る