「若い力」日頃から意識を

 11月5日は「世界津波の日」。津波の脅威と対策について理解と関心を深めることを目的に、2015年12月の国連総会で日本が提唱し、日本をはじめ142か国が共同提案を行い、全会一致で採択された。
 この日が「世界津波の日」とされたのは、安政元年(1854年)11月5日、安政南海地震による津波が現在の和歌山県広川町を襲った際、県の先人である濱口梧陵が稲むらに火をつけ、津波から逃げ遅れた村人を高台へ導き、多くの命を救った故事にちなんだもの。
 濱口梧陵は村人の命を救っただけでなく、その後私財を投じて村の再生を支援し、将来の津波に備えて堤防を築いた。この堤防は昭和21年12月の昭和南海地震による津波の被害を最小限に抑えた。
 今月31日と11月1日の2日間、和歌山県内で「『世界津波の日』2018高校生サミットin和歌山」が開かれる。国内外の高校生ら487人が参加。防災分野の将来のリーダーを目指し、濱口梧陵の精神を学ぶ。
 当地方では、近い将来の南海トラフ地震が予想されている。2011年の東日本大震災で津波の脅威は思い知らされた。同じような津波、あるいはそれ以上の津波が当地方を襲う可能性がある。各自治体や自主防災組織などでは訓練や学習会を重ね、海岸部に津波避難タワーを設置するなど、ソフト・ハード両面で備えを進めているが、有事の際、頼りになるのは間違いなく若い力。今の中高生が防災への意識を高めるだけでなく、避難や応急救護などの知識・技術を身につけてくれれば頼もしい。
 新宮市の新翔高校は先日、1年生を対象に防災スクールを開いた。災害時に有用となれる人材の育成を目指し、毎年実施しているもので、今回も教職員、育友会、佐野区住民、みくまの支援学校高等部なども参加、地域との連携も意識した。
 東日本大震災の被災地ではボランティア活動に参加する若者の姿が映し出された。当地方も7年前の紀伊半島大水害で、復旧には若い力が大きく貢献した。
 自治体や自主防災組織が行う訓練などへの参加者は中高年中心。今後はこうした場所に学校単位で参加していくことが求められる。
(平成30年10月20日付 紀南新聞掲載)

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