勝浦漁協を再建へ
公設民営の市場に
施設は町が保有

活気を見せる勝浦漁協市場(今年1月) 勝浦漁業協同組合(片谷匡組合長)は経営悪化により、民間ファンド「地域経済活性化支援機構」(東京都千代田区)の支援を受けることが発表された。17日に和歌山市内で行われた会見では勝浦漁協の片谷組合長、和歌山県漁業組合連合会の木下吉雄会長、那智勝浦町寺本眞一町長、機構の代表者2人が出席。支援申し込みに至った経緯や支援の方向性などが示された。
 今回の支援事業により、勝浦漁協は卸売市場での運営権を県漁連に、所有する不動産を那智勝浦町にそれぞれ売却し(金額は非公表)、債務の返却資金に充てる。残る債務は機構が買い取り、一部を債権放棄、保障解除するなどの対応を行う予定。これにより、勝浦漁協は事実上解散し、町が開設権を持ち販売などの運営を県漁連が持つ「公設民営」の漁協に再編される。事業や不動産の譲渡は今年10月1日までに行われる。
 支援申し込みの経緯には、遠洋マグロ漁船大型化のための貸付債権が漁業の不振や魚価の低迷などにより不良債権化したことや、製氷冷凍事業の不振、水揚高減少にともなう手数料収入の減少などの要因があったと同機構は説明。
 再生計画では、販路拡大や加工販売によるブランド化、県外船の誘致活動を展開するなどして、販売事業収益の維持拡大に努めるほか、県漁連や町、市場関係者により構成される「市場運営委員会(仮称)」を設け、経営管理体制の強化も図っていくことなどが示されている。

■漁協「苦渋の決断」 町は再建に意欲

 勝浦漁協の丸山一郎参事は今回の決定に対し、「組合としては非常に大きな決断。苦しい思いがあった」と心境を語る。勝浦漁協によると、2015年3月期の売上高は3億400万円。営業利益は5600万円で単年度では利益を確保している。しかし利益のほとんどが、11億7100万円(同月期)の債務超過への返還に充てられる状況が続いており、試算では完済までに約50年かかるとされていた。丸山参事は「ここは県外船がほとんど。利益を生み出してくれる漁業者に対して還元ができない状況が続いていた。勝浦に揚げてよかったと思えるような市場にしなければ、という思いがあり申請に踏み切りました」と決断の背景にあった思いを述べた。
 また、寺本眞一町長は取材に対し「マグロ漁は観光と並ぶ、本町の基幹産業。町としてもここで決断して新しいものにしていかなければという思いがあった。まさに最後のチャンス。これを機にしっかりと再構築していきたい」と述べ、衛生管理型の市場の整備などを視野に入れた再建に意欲を見せた。
■勝浦漁協
 1949年設立(大正年間にスタートした勝浦漁業会が母体)。今年3月末現在で正組合員が98人、準組合員が50人。今回の再生支援により、今年10月をめどに沿岸漁業者を対象とする新漁協を設立し、主にその指導事業にあたる予定となっている。

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