台風21号 広範囲で停電
新宮市内で3610戸 復旧に時間
最大瞬間風速 37・8メートル

 台風21号は4日正午頃、強い勢力のまま徳島県南部に上陸、その後兵庫県神戸市に再上陸し、スピードを上げて北北東に進み、同日夕方には日本海に抜け、北日本に進んだ。紀伊半島南部では、台風が最接近した4日昼前から夕方にかけて暴風が吹き荒れ、新宮市内で同日午後1時9分に37・8メートルの最大瞬間風速を観測したのをはじめ、各地で強い風による被害が相次いだ。

暴風で旧店舗の外壁がはがれ信号柱も傾いた (4日午後1時21分、那智勝浦町宇久井の国道42号宇久井港交差点)

暴風で旧店舗の外壁がはがれ信号柱も傾いた
(4日午後1時21分、那智勝浦町宇久井の国道42号宇久井港交差点)

 今回の台風で目立ったのは停電で、関西電力が発表した5日午前9時現在の管内の総停電軒数(暫定値)はのべ約218万3000戸で、このうち和歌山県は約32万7000戸。県内では同時刻時点で約8万2000戸が未復旧とのこと。新宮市内で3610戸の停電が確認されたほか、那智勝浦町川関では、おおよそ4日夕方から同日深夜にかけて停電し、車内で睡眠をとる住民もいた。
 関西電力は、現在、被害状況の把握に努めるとともに、社員、協力会社の8000人体制で復旧作業にあたっているが、停電範囲が広域なため全戸の送電再開には日数を要すると見込んでいる。また、配電設備等の被害により停電の長期化が想定されることから、「非常災害時における復旧応援に関する協定運用細則」に基づき、他の電力会社に高圧発電機車40台の応援を要請。「大変ご不便とご迷惑をおかけし誠に申し訳ありません。電柱の折損や、電線が切れて垂れ下がっている箇所もございます。大変危険ですので、これらには絶対に近づかないようお願いします」と伝えている。

大塔川が氾濫し冠水した県道静川請川線 (4日午後3時11分、田辺市本宮町川湯)

大塔川が氾濫し冠水した県道静川請川線
(4日午後3時11分、田辺市本宮町川湯)

 暴風の影響で、那智勝浦町宇久井の国道42号、宇久井港口交差点では、交差点脇の旧店舗の壁がはがれ、歩行者用の信号柱が大きく傾いた。新宮市内や那智勝浦町内などの国道42号では、信号機が一時消灯した交差点があった。ほか、各所で木々が道路に倒れたり、道路標識やカーブミラーが曲がったり、看板が飛ばされたりした。新宮市王子町では、空き家の一部が倒壊した。
 一方、雨は4日朝から強まり、同市熊野川町日足の熊野川では同日午後4時40分に氾濫危険水位を超えた。先月の台風20号で大きな被害を受けた田辺市本宮町の川湯地区では再び大塔川が氾濫し、県道静川請川線が冠水した。

 ■避難所利用増える

 新宮市は4日午前10時までに25か所の避難所を開設し、利用が最も多かったのは同日午後2時時点で355世帯513人。先月の台風20号と同じようなコースをとったが、勢力が非常に強いという予報もあって、前回台風時に比べ避難した人が増えた。紀宝町(17か所)のピークは同時刻の88世帯125人だった。5日午前9時現在、本紙関係全域で発令されていた大雨、暴風警報は解除されている。本紙関係の各自治体によると、5日午前10時現在でけが人の情報は入っていない。
 新宮市立医療センターでは、熊野交通の運行する路線バスも台風のため4日の運行を取りやめていた。病院利用者の一人は「いつもはバスで来るんやけど、今日は家の車で来た。診察してもらっている1時間ぐらいの間に雨風が急に強くなった。駐車場までの距離ですら歩いていくのが怖い」と困った様子だった。

 ■道路関係

 紀宝町鮒田から熊野市紀和町小船間を結ぶ県道小船紀宝線は、4日正午から大雨で通行止めになっている。5日午前9時35分現在、路面清掃や倒木処理にあたっており復旧は未定。田辺市本宮町川湯地内の県道静川請川線は路肩欠損と路面冠水で一時全面通行止めになったが、現在は片側交互通行できる。
 高速道路では、阪和自動車道の和歌山IC(インターチェンジ)〜堺IC間の上下線、関西空港道の泉佐野JCT(ジャンクション)〜りんくうJCT間と関西空港連絡橋の上下線が5日午前11時現在、通行止めが続いている。

ー 新宮市内の停電のあった地区 ー
清水元1〜2丁目 緑ヶ丘1丁目
王子町1〜3丁目 熊野地1〜2丁目
阿須賀1〜2丁目 田鶴原1〜2丁目
蓬萊1〜3丁目 丸山
徐福1丁目 下田1〜3丁目
新宮市新宮(松山) あけぼの
佐野3丁目 高田
熊野川町田長 熊野川町能城山本
熊野川町日足 熊野川町宮井

 
 
 

「特急くろしお」運休続く 鉄道・バスの運行状況


 JR西日本は、倒木や電化柱の傾きなどが発生していることから、5日運行の「特急くろしお号」全列車・全区間で運転取り止めを決定。運転再開には相当な時間を要する見込みとしている。バスなどの代行輸送は行わない。
 また、きのくに線の新宮〜白浜間では、上下線ともに運転を再開(一部列車に休止や遅れが発生する場合あり)しているが、白浜〜和歌山間は5日午前10時現在も運休しており、再開のめどは立っていない。こちらもバスなどの代行輸送は行わない。
 JR東海の紀勢本線では、5日午前10時30分現在、倒木や停電の影響により、亀山〜新宮間で運転を見合わせているため、上下線の一部の列車が運休している。 運休しているのは、特急ワイドビュー南紀1〜6号、快速みえ1〜12号。
 路線バスを運行する熊野交通によると、5日は平常運行する。川丈線は田辺市本宮町川湯地区が道路通行止め(片側交互通行)となっているため、成石〜かめや前バス停間はう回運行。最寄りバス停は、請川もしくは川湯温泉。
 那智勝浦・新宮方面〜東京・大宮方面をむすぶ高速バス「南紀大宮線」を運行する三重交通によると、5日は予定通り運行するという。

 
 

観光にも影響大  特急運休 「早く復旧してほしい」


 台風21号の影響でJRきのくに線の特急くろしお号が5日も運休した。JR西日本和歌山支社によると、運行再開には復旧作業などでなお時間がかかる見通しとのことで、紀南地方への観光にとって痛手となる。
 新宮市観光協会によると、5日朝から、当地方を訪れていた観光客から大阪方面に帰る手段を尋ねる問い合わせが相次いだ。中でも外国人観光客が多かったという。同協会では、特急ワイドビュー南紀号も5日は運休のため、三重交通の特急バスで松阪・名古屋方面に出て、列車に乗り換えて大阪に向かうよう案内した。同協会職員は「日本人に比べ、外国人は列車運休などの情報を入手するのが難しかったようです」と説明した。
 また、くろしお号の運休については「京阪神方面からの観光客の多くが利用する列車なので、長引くと当地方の観光に与える影響が大きい。できる限り早く復旧してほしい」と話した。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今月のニュース

2018年11月
« 10月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

社説

  1. editorial-5-300x220

新聞広告ガイド

名刺印刷承り中

ページ上部へ戻る