台風21号接近、避難の意識を

 台風20号によって本紙エリアの各地では、河川の氾濫による浸水被害や土砂災害などが発生した。7年前の紀伊半島大水害(台風12号)と似たようなコースをとった台風だっただけに、住民の不安は大きかっただろう。今回、人的な被害がなかったのは幸い。
 紀伊半島大水害を契機に気象庁は大雨等の特別警報を設けた。警報の発表基準をはるかに超える豪雨が予想され、重大な災害の危険性が著しく高まっている場合に発表し、最大限の警戒を呼び掛けるもので、直近では7月の西日本豪雨で発表された。
 しかし、この際に気象庁は「特別警報は最後通告のようなもの。警報や土砂災害警戒情報が出たら、気象庁のホームページで土砂災害や浸水の危険度マップを閲覧し、自分が住んでいる地域の状況を確認してほしい」と呼び掛けた。さらに、高齢者の多い地域ではインターネットへのアクセスが難しい場合もあり、コミュニティーのリーダーに情報の見方を知ってもらうようにする必要があるとの見解も示した。
 つまり、避難行動は早め早めを意識する大切さを訴えている。今回の台風20号の最接近は夜になるとの予報が出ていた。避難した人たちの多くは明るい昼間に避難所を訪れていた。行政の避難勧告、避難指示のタイミングは以前に比べて早くなったといっても、どうしても雨量や河川の推移を見ながらになる。地区や隣近所のリーダーが率先して避難行動を呼び掛けることが人的被害をなくす近道になる。
 新宮市熊野川町の西敷屋地区の住民は台風20号の接近を受け、早い人で8月23日午前8時30分から自主避難を開始。午後3時30分の時点で10人が同地区の山手集会所に集まっていた。「避難して何事もなければ防災訓練になったと思えばいい」と地区のリーダーは語る。
 住民の大半が高齢者という西敷屋地区と同じような境遇の地区はほかにもある。災害時対応の第一として「自助」があり、次に「共助」がある。「公助」を待っていれば手遅れになる可能性もある。台風21号が非常に強い勢力で日本列島に接近、上陸する予報が出ており、今一度避難行動について家族や近所で考え、万全の備えをとることが大切になる。
(平成30年9月1日付 紀南新聞掲載)
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