魅力ある農業へ 国の支援を

 前回に続きこの地域の第一次産業について考える。農業を見ると、米、野菜、果物など、恵まれた自然と気候によって古くから地域の代表的産業として定着している。世界遺産・神倉神社の麓付近では農業が盛んに行われていたためか、同神社例大祭「お燈祭り」の大松明には現在も「五穀豊穣」と祈願を記す。また、同神社の御神体「ゴトビキ岩」のしめ縄には、地元・神倉農業実行組合が毎年、稲わらを奉納している。
 こうして栄えてきた当地の農業だが、生産者の高齢化や自然災害による打撃、出荷価格の低迷など、取り巻く環境は決して明るいとは言えない。そんな中、さまざまな自助努力によって明るい未来を切り開こうとしている。
 御浜町では、このところUターンやIターンによる若手農業者の意識が高い。鈴木英敬知事との懇談では「外貨を稼ぐのはミカンしかない。若手の知恵を絞って御浜のミカンを守っていく。そのためのPRに協力を」と要望する若者がいた。別の若者は「町内には600軒の農家があり、一人一人がライバルだが、外貨を稼ぐためには協力が必要。ミカンでこの地域を豊かにするのが目標」と力強く語った。こうした若者の存在は心強い。個人事業主であるが、地域のブランド力強化のためには団結も必要ということを示している。
 また、JAみくまのは、農林水産省が取り組む「農業女子プロジェクト」の一環として、「みくまの農業女子」を一昨年9月に組織し、さまざまな活動の中に女性の視点を取り入れている。先日の会合では、キュウリやナスを例に、「同じものばかり作っている。珍しいものを作ると売れないのではないかという怖さもあるが、いつもと違うものを作ったら目立つのでは。それを使ったレシピも合わせて売り出したら面白い」との意見が出た。
 こうした自助努力に加えて、国などによる有効な支援策があれば、当地の農業はこれからも可能性が広がる。例えば、農業特区。農業事業者や新規参入者に対し、規制緩和や税制上の優遇措置などが特別に認められた地域になり、それによって競争力をつけることでブランド力強化につながるだろう。若者にも魅力ある仕事として人口減抑止も期待できるのではないか。
(平成30年7月7日付 紀南新聞掲載)

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