市民と顔の見える関係に

 新宮市の田岡実千年市長は過日の市議会特別委員会で、文化複合施設建設にかかる整備事業費が当初より3億5702万円増の58億5702万円とする、最終の基本設計案を示し、2020年度末の完成に向け実施設計に着手することを宣言した。その議論のなかで、公明党議員2人が建設に伴う市の財政悪化への具体的対策として、議員歳費(収入)の1割と議員定数の3人を削減する提案を行う意思を示した。
 50年に一度の大事業に議員も身を切る覚悟で臨むという姿勢を見せたわけだが、あまりに唐突な意思表示に対してある議員は「今ここでいう話ではない」などと反発。今後、どのタイミングで議論のテーブルに上がるのか、注目するところだ。
 確かに財政負担軽減のため歳費や定数を削減することは分かりやすい「施策」かもしれないが、スリム化することによって今以上に市民の声が市政に届かない懸念もある。しっかりと議論する必要があるだろう。併せて大切なのは、議員一人一人が市民との距離をもっと縮めることだ。
 よく議員が「市民からの声で」と言って一般質問することがある。市民の声を届け、行政をただすという議員として基本の仕事だが、では、市民の声はどのように集めているのか。日頃から地域を熱心に歩いている議員もいれば、自分に割と近い市民だけに偏っている議員もいるように思える。市民の多くは市役所に要望することがあっても、「議員に代弁してもらおう」とはなかなか思わないし、思ったとしてもすぐに行動に移すだろうか。
 三重県の尾鷲市議会では、議会基本条例の定めで年に2回(4月と9月)に議会報告会を市内各所で開催。全議員が出席し、できる限り市民に参加してもらえるよう、開催方法は改良を重ねている。熊野市議会もこれにならって議会報告会を開催するようになり、その際に寄せられた意見をもとに代表質問という形で当局をただしている。
 新宮市議会では、議員個人で報告会を催すことはあっても、市議会全体、あるいは各委員会等の単位で報告会を催すことはほとんどない。「何の仕事をしているのか分からない」などといった市民の声に、自分たちが行っている仕事の証しを示す場所にもなる。ぜひ、実施してもらいたい。(平成30年6月9日付 紀南新聞掲載)

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