市役所駐車場 あり方再考を

 新宮市役所西側駐車場の一部払い下げ(売却)に関する陳情が近くの医療機関から市議会に提出され審議が続いている。先日の市議会総務建設委員会では、早く採択して市長に判断を委ねるべきと主張する委員と、公共用地の売却やその方法に慎重姿勢を示す委員とが対立。市当局も調査不足や市民への説明が必要として、1か月の猶予期間を求め、結果、継続審議となった。
 西側駐車場は昨年、旧庁舎第4別館を取り壊したあと整地し、供用開始。税金を投入して整備したばかりの公共用地を民間に払い下げることに市民の理解が得られるだろうか。売却によるメリットとデメリットを検証し、慎重に進めるべき案件だろう。
 ところで、この日の委員会で田岡実千年市長は「市内の開業医の育成も大切。代替地などで市民の利便性が確保され、市民サービスが低下しない状況であれば、願人の希望も叶えたいという気持ちもある」と発言した。
 旧庁舎時に比べ、駐車できる台数は多く、平時に満車になることはほぼない。であるならば、西側駐車場の一部を売却しても市民サービス低下にはつながらないという結論に達するのか。
 ここで考えるべきなのは、西側駐車場の利用がなぜ少ないのかということ。利用者は少しでも近いところに駐車したいという心理から正面玄関前にとめる。市道の交通量が多く、晴雨に関わらず横断を不便と感じてしまうことも要因の一つではないか。
 売却するのであれば、市民サービス低下にならないよう、市当局はこの1か月で来庁者数や駐車場利用状況などの調査を踏まえ、西側駐車場の今後のあり方を再考する必要がある。例えば、駐車スペースを減らしたとしても、立体駐車場の形状をとって、オークワ新宮仲之町店が実施しているように、庁舎側への連絡通路を設ければ横断時の不便さは改善される。
 また、車で来庁する人ばかりでないことも再認識すべき。高齢化が進み、高齢者に対する運転免許証の自主返納も推進する中、公共交通による移動の利便性を高めていくのも行政の役割の一つ。福祉センター側の玄関前にバスが乗り入れられるスペースを設けたり、タクシー会社に直通する電話を設置したり、この機会に並行して弱者に対するサービス向上も検討してもらいたい。(平成30年6月2日付 紀南新聞掲載)

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