未来は自分たちの手で

 産業政策としての観光を考えてみる。近年、単なる観光から参加型観光へと、団体旅行から個人旅行へと旅行の形態は移行している。旧態依然の待ちの姿勢では交流人口を稼ぐことはできない。
 2040年には地方、われわれが住む紀南地方の人口は半減すると言われる中、地域内GDPの減少の歯止め策の一つとして、観光産業の育成、振興を総括するDMOが効果的な手段として注目されている。
 全国の地方が同じ状況下の中、DMO組織が約150程度存在する。日本版DMOとは、多様な関係者と協業しながら、明確な概念に基づいた観光地づくりを実現するための戦略を策定し、その戦略を実現するための調整機能を備えた法人(観光庁)。いろいろな知恵を集約し、地域に稼ぐ力を養成すべく、地域経営とデータマーケティング能力を携えなければならない。
 その一つの起爆的イベントとして東京五輪がある。観光庁はもちろん、各観光産業機関も仕込み準備をしている。和歌山県は、和歌山市だけが地理的優位性もあるが、観光資源に磨きをかけ入り込み数を増やし、宿泊・飲食業に恩恵をもたらしている。田辺市も世界遺産の恩恵で入り込み数が増加。白浜温泉はほぼ横ばい。DMO南紀白浜観光局の役割、機能次第だが、今後はインバウンド客が増える傾向にある。10万人誘客スローガンを掲げて、観光産業活性化による白浜町内GDP額増を計画している。
 新宮・東牟婁エリアは、定住人口減少に伴う、交流人口を稼ぐ自助努力が今以上に必要になる。観光インフラでも他地域に比べると劣勢で、観光資源も十分に生かされていないところがあるのも事実。観光地と非観光地を混合して思考するなど、複合的に地域を融合させるべきだ。
 また、地域内の市町村観光担当課、任意団体の観光協会などが今以上にスクラムを組み、場合によっては組織を刷新するなどして体制を強化し、ニーズをしっかり捉えた計画を打ち出していく必要がある。まち経営の根源は税収アップによる地域住民の生活と福祉の向上で、観光産業(第3次産業)は第2次産業、第1次産業も潤す。自分たちの未来は自分たちの手でつかみとる意識が大切になる。(平成30年4月28日付 紀南新聞掲載)

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