地域で高齢者の定義を

 先日、神奈川県大和市が「70歳代を高齢者と言わない都市」を宣言した。今後、市の施策や広報紙などでなるべく「高齢者」という言葉を使わないようにする。法律や条例などの対象者や運用は変更しないという。
 少子高齢化が進展し、一昔前であれば「60歳定年」が一般的だった会社勤めは今や雇用延長が普通となり、60代は紛れもなく「現役世代」と言える。そうした世代を「高齢者」と定義する固定概念を見直そうという動きが各方面であり、前述の大和市は「この世代が意欲や能力に応じて、いつまでも生き生きと活躍してもらいたい」という狙いを込めて全市的な機運を高めるべく宣言をした。
 日本老年学会・日本老年医学会は昨年、「高齢者」として定義される年齢の引き上げを提案。現在は65歳以上が「高齢者」とされているが、これを75歳以上とし、65歳〜74歳は「准高齢者」とする提言だ。これに対しては、年金支給の年齢が引き上げられるなど、社会保障に影響が出るのではないかという不安を抱く声があるのも事実。今後は、こうした不安の声を解消しながら、議論を前に進めていく必要があるだろう。
 全国統一の定義がまだ先になるのであれば、まずは地域版の定義を設けてはどうか。新宮市と東牟婁郡さらに三重県南牟婁郡と熊野市までを含め、高齢者は75歳以上からというように。すでに新宮市では、数年前に市老人クラブ連合会の愛称を「ゆうゆうクラブ」としている。会員自らも「老人」という意識は少なく、若い世代に負けない気持ちでさまざまな活動に取り組んでいる。
 迫り来る超高齢化社会。これを支える現役世代の負担は大きくなるのかもしれないが、悲観的に捉えるのではなく、人生の先輩の知恵や力を借りながら地域の活力を生み出していくことを考えてはどうか。
 子どもたちの教育現場や子育て支援の分野でも、これまでの経験を生かして活躍できる人は多いはず。現在もボランティア活動でこうした取り組みは見られるが、これを行政や社会福祉協議会などがコーディネーターを務め、環境を整えることで手を挙げる人は増えるはず。やがては地域全体の健康寿命の増進にも期待できるだろう。(平成30年4月21日付 紀南新聞掲載)

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