積極的な情報発信が鍵

 今年も当地方では、高校を卒業し、進学や就職で多くの若者が地元を離れた。それぞれ新たなステージで活躍されるだろうが、心の中でふるさとを思う気持ちを持ち続けてほしい。
 ふるさとを応援するカタチの一つに「ふるさと納税制度」がある。平成20年度に創設され、ふるさとや地方自治体を応援する納税者の気持ちを橋渡しし、支え合う仕組みとして活用されてきた。最近では、地震や豪雨など災害時の被災地への支援としても使われている。
 ふるさと納税は地方自治体がさまざまな施策を実現するための手段として重要な役割を果たす制度といえる。今後、ふるさと納税で得られた資金がそれぞれの地域でさらに有効に活用されるためには、各自治体が地域の実情に応じて工夫し、活用する事業の趣旨や内容、成果をできる限り明確にすることが大切だ。
 また、ふるさと納税を行った人と継続的なつながりを持つこともプラスに働く。自治体の中には、まちづくりへの意見募集や行事の案内を行うほか、交流会開催などの取り組みもある。ふるさと納税を契機とした関わりを大切にすることで交流人口の増加、ひいては将来の移住定住につながることも期待できる。
 総務省が発行した「ふるさと納税活用事例集」では、本紙エリアの田辺市と熊野市の取り組みが紹介されている。田辺市は熊野古道をPRする一環で、同じく巡礼の道として世界遺産登録の「サンティアゴへの巡礼道」のある、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ市との連携事業、公衆トイレの整備、外国人旅行者のための多言語案内看板の設置などの事業にふるさと納税を活用。
 熊野市では、公共交通空白の過疎地への交通手段を確保する取り組みとして、NPO法人「のってこらい」による自家用自動車運送を開始。その運行範囲拡大に伴い車両の追加が必要となったため、ふるさと納税を募り、事業内容を発信して多くの協力を得た。
 一時はご当地の返礼品を目当てにブームとなったふるさと納税。高価になりすぎることで総務省が警鐘を鳴らしたが、一過性ではなく継続的に応援してもらえるよう、積極的な情報発信に努めてもらいたい。(平成30年4月14日付 紀南新聞掲載)

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