新種発見 観光の起爆剤に

 桜の開花が進み、花見シーズンを迎える中、先日、当地方に喜ばしいニュースがあった。紀伊半島南部に自生している桜が約100年ぶりの新種であることが発表された。その名は「クマノザクラ」。観賞用として一般的な「ソメイヨシノ」に比べて赤みが少し強く、咲く時期も早いのが特徴という。
 これまで早咲きの「ヤマザクラ」と思っていた桜が実は新種だった。自生しているのは、和歌山、三重、奈良の3県にまたがる南北90キロ、東西60キロの範囲であることが、国立研究開発法人森林総合研究所によって示された。
 研究者が懸念材料として挙げたのが、ソメイヨシノなど植栽の桜による遺伝子汚染の恐れ。手入れが行き届かない山中などに植栽する場合に考えられるとし、将来的にはこの地域のソメイヨシノをクマノザクラに変えていくことで遺伝子汚染はなくなると見解を示した。そのための課題として、行政や関係機関がクマノザクラの特徴を周知し、地元住民が正しく理解することが大切になると訴える。
 和歌山県が主催した現地説明会には県内外から71人が参加した。募集開始後まもなくで定員に達し、キャンセル待ちの申し込みも多数となり締め切ったほど、注目度が高かった。新聞やテレビによる報道で「クマノザクラ」の名前は一気に広がった。100年ぶりというキーワードと開花時期であるタイミングが奏功した。しかし、これを一過性に終わらせないための工夫が必要になる。
 新種発見の決め手となった「タイプ標本木」のある古座川町では、この「クマノザクラ」をいち早く町の花に指定した。今後、観光や地域活性化に生かすことが狙いだ。
 具体的にどのように生かせばいいのか。三重県南部の13市町は、ふるさと納税をした人たちを現地へ案内する合同バスツアーを県と合同で企画。先日、1泊2日の日程で東紀州地域の7市町を巡った。地域一体でPRすることで南部地域のファンを増やそうという試みだ。単独で宣伝するより一体となることで旅の魅力が増した好事例といえる。
 クマノザクラは3県にまたがる広域に分布。熊野古道などの世界遺産とともに冠をつけ、魅力ある旅行計画を打ち出してはどうか。(平成30年3月25日付 紀南新聞掲載)

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