任命権者の責任とは

 開会中の新宮市議会の一般質問中、大西強議員は匿名の市民から自身に寄せられたとする文書を読み上げた。向井雅男副市長を名指しで批判するものだった。内容は、昨年10月に新宮市内に大きな被害をもたらした台風21号に関して、今年1月に国・県・市の幹部が出席し開かれた住民説明会に向井副市長は出席せず、市のOBらと旅行に出かけていたことに対しての怒りがつづられていた。
 大西議員は「実務最高責任者が出席しないのは信じられない」と、事実関係を追及。向井副市長は昨年夏から予定していた自身の退職旅行だったこと、田岡実千年市長に相談し、自身で判断したことを説明した。
 副市長とは、市長を補佐し、市の行政の事務を監督する特別職の地方公務員。市長が欠けたときにはその任務を代行する。この説明会には、田岡市長ほか担当課長も出席していたが、市民感情からすれば被害を受けた住民への説明会に市幹部全員が出席すべきだとする意見も理解できる。
 この匿名の文書では、「向井副市長に責任を取らせてください」とあるが、責任の所在はむしろ任命権者の田岡市長にある。説明会の日程調整の段階や副市長から相談があった段階で配慮ある行動を取ることができたのではないか。また、副市長の起用に同意した議会にも責任はあるが、向井副市長には今回の件を反省し、今後の行動で示してほしい。
 一方、那智勝浦町では、森崇町長が病気療養で不在の中、矢熊義人副町長が職務代理者として町議会にも臨んでいる。森町長は今年1月17日の初登庁後、体調不良を訴え検査入院し、肺がんであることが判明。今後は毎月1回、和歌山市の病院で治療を受けながら職務をこなすとしているが、トップが体調面に不安を抱える中での町政運営に、矢熊副町長にかかる責任は非常に重い。
 新宮市には文化複合施設建設をはじめとする諸課題、那智勝浦町でもクリーンセンターを巡る問題など、やるべきことは山積。そんな中、実務レベルの責任者といえる「ナンバー2」の存在は重要。住民にとって良い政策をしっかりと提起し、当局と議会が両輪となって進めていくことが求められる。(平成30年3月11日付 紀南新聞掲載)

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