“勝ち組”へ成功例に習え

 人口減少、若者の流出が続く当地方で、これまで地域をリードしてきた農林水産業に加えて観光産業がこれから柱の一つに成長しなければ、地域全体の浮上は見込めない。外貨獲得は必須で、これは人口減少に悩む全国どの地方都市でも同じ。その中で、“勝ち組”になるためには、各地の成功事例を参考に、官民一体となった取り組みが必要だ。本紙正月特別号で「決断」の大切さを訴えた。リーダーには節目において決断が求められ、政治力が試される。
 正月三が日は天候に恵まれ、熊野三山を中心に大勢の初詣で客でにぎわった。中でも熊野本宮大社は3日間で40万人を超す人が訪れた。「紀伊山地の霊場と参詣道」が平成16年に世界遺産に登録された翌年、旧本宮町は田辺市など5市町村で合併し、新「田辺市」の一員となった。これが大きな節目。本宮大社を核に観光客誘致に努めようと、周辺の国道168号沿いを門前町風に整備。世界遺産センターも建設した。
 本宮大社は毎年10月、乳がん検診を促進する「ピンクリボン運動」への協賛として、旧社地・大斎原の大鳥居をピンク色にライトアップ。また、今年は創建2050年の記念として、正月の大鳥居ライトアップに加え、本殿周辺では神門開門と同時に「光の柱」を披露し、参拝者の注目を集めた。古都・奈良の神社仏閣では近年、実物と映像をシンクロ(同期)させたプロジェクションマッピングが話題となり、各地から大勢の参拝客が集まっている。
 世界遺産の冠は全国各地にあり、今後は付加価値が必要だ。新宮市では2月6日、伝統の「お燈祭り」が行われる。参加や見物で訪れる観光客は多く、当日市内で宿泊する人もいるだろう。翌日に市内のグルメを一堂に集めたイベントを開催したり、宿泊施設と連携し次回宿泊時のサービス券を配布したり、何か企画してはどうか。
 年間60万人の観光客が訪れる熊野速玉大社。本宮や奈良のような取り組みも参考に、住所(新宮一番地)を生かし、「一番地から始まる新宮満喫ツアー」のような体験型観光もおもしろい。古き良きものを守ることは大切。そこに知恵を絞り、時流に応じたニーズを加えることができればさらに輝きを増すだろう。(平成30年1月7日付 紀南新聞掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

社説

  1. editorial-5-300x220

新聞広告ガイド

名刺印刷承り中

ページ上部へ戻る