決断できるリーダー求む

 今月15日告示、22日投開票の日程で行われる新宮市長選。争点の一つに、文化複合施設を巡る問題が挙げられる。
 来月開催される「第12回新宮市民音楽祭」の会場は市立総合体育館(大浜)と市福祉センター。昨年に続き、音響設備の整っていない会場での合唱や演奏は、出演者・来場者ともに気の毒だ。市民会館が昨年3月で閉館、すでに解体され、市民の文化拠点が失われた状況が長らく続いている。音楽祭のように市内の他の施設で実施する場合もあれば、隣の那智勝浦町や紀宝町の施設を間借りして実施する団体も。文化複合施設の建設が思うように進まない中、やきもきしている市民は多い。
 「立派な市役所は完成したのに、市民の文化拠点は先送り」と皮肉られても仕方ない。文化ホールと図書館を備えた文化複合施設の建設予定地から歴史的価値があると思われる遺跡が見つかり、保存形式などの取り扱いを巡って市議会で長らく議論が続いた。記録保存し、計画通りの場所に建設するという結論に落ち着くかと思われた矢先、県文化振興課から「記録保存では不十分」との通達があった。保存活用を求める市民団体の熱心な活動もあり、建設に向けた一本軸が定まっている状況にはない。
 似たような事例がある。神戸市に先月オープンしたイオンモール神戸南。もともと中央卸売市場があった場所で、跡地利用を検討していたタイミングの土壌調査で戦国時代に築城された兵庫城の遺跡が見つかった。また、御坊市のオークワ・ロマンシティも堅田遺跡上に建設したもの。民間の施設ではあるが、保存形式や活用方法などを参考にできるのではないか。
 ホールの座席数についても賛否両論あるが、中核都市としてある程度の規模にする必要がある。ランニングコスト(経常経費)を補う方法としてネーミングライツ(命名権)もある。市主催行事でスポンサーを募ることもできる。市民優先の視点で見てもらいたい。当初の予定以上に待たされている現状で「痛み」を伴っており、先送りや縮小ありきの考えにはならないはずだ。
 文化複合施設に限ったことではないが、100%納得させる事業は難しく、要所で決断しないことには物事が前に進まない。当選した市長には早期の決断を求む。(平成29年10月8日付 紀南新聞掲載)

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