「新しい文化」 示せ

 新宮市長選挙が10月15日告示、22日投開票の日程で行われる。先だって立候補予定者説明会があり、現職の田岡実千年氏、市議会議員の並河哲次氏の2陣営が出席した。2氏による一騎打ちの可能性が高い。
 観光が産業の一つの柱になっている。観光資源の背景となっているのが、奥深い自然と、神話の時代から連綿と続く歴史だ。熊野三山の信仰と熊野古道、巡礼を受け入れる住民の心持ち、木材産業や温泉、めはり寿司(ずし)やさんま寿司、茶がゆといった郷土食など、自然と歴史が交わって文化が生まれる。
 独自性は地域それぞれだが、日本のあちこちに新宮と同等の「歴史と文化」がある。他地域との競争に勝って来訪してもらうには、新宮市、あるいはこの地方の特色・独自性を前面に出しアピールする必要がある。
 文化複合施設の建設は選挙戦の大きなテーマの一つだが、その施設を含む環境を活用して、どのように文化を作り上げていくのかが重要だろう。新しくできるホールで、たとえば現在のように歴史や文化を掘り下げる講演会を多く開いていくのか、音楽イベントに力を入れたり劇団の公演を定期的に行ったりと新しい方向を目指すのか。取り組みが積み重なると地域の文化風土になるし、将来の観光振興にも大きな影響を与える。
 施設を建設するには多くの費用がかかる。金額は意識しやすいため、選挙になると争点になる。一方、建設した後30年、40年と使っていく中で、毎年維持費がかかる。生きた金の使い方ができるかどうか、施設運営の面も重要だ。
 新しい文化が日々、生まれている。B級グルメ、ドラマや映画のロケ地を巡る「聖地巡礼」などはその一例だろう。観光を産業の柱に据えるならば、現在に受け継がれている自然や文化の維持と共に、新しい時代の需要を呼び起こさないといけない。
 まちづくりの基本方針となる第2次総合計画の策定も進む。選挙戦で候補者は、今後の新宮市をどのようなまちにしていきたいか、どのように市民の暮らしを成り立たせるか、任期の4年という期間を超えて、10年後、20年後につながるビジョンを示すべきだ。
(平成29年10月1日付 紀南新聞掲載)

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