「土砂災害を知り、備える」
那智勝浦町でシンポジウム

photo[1] 当地方に未曾有の被害を及ぼした紀伊半島大水害の爪痕は、いまも多くの場所に残されている。この水害だけでなく、その後も毎年各地で多くの土砂災害が発生している。国土交通省近畿地方整備局大規模土砂災害対策技術センターは9日、那智勝浦町体育文化会館でシンポジウム「改めて土砂災害を知り、備える〜紀伊半島大水害から6年〜」を実施した。職員が近年発生した土砂災害を解説したほか、同センターの取り組みなどを紹介。約200人が来場し、命と地域を守るための知識を学ぶとともに、有事の際に取るべき行動などを再確認した。
 同センターの中込淳センター長があいさつ。水害で犠牲になった人の冥福を祈るとともに、同センター設置までの経緯を紹介。「災害から一人一人の命を守っていくために考えなければいけないことは多くある。皆さんと一緒に考えたい」と述べた。
 各地で発生した土砂災害について、吉村元吾副センター長が特徴や取られている対策を紹介した。
 土砂災害の特徴は▽突発的に発生する▽いつどこで発生するか予測するのが困難▽土砂が動き出してから逃げることは極めて難しい▽人的被害につながりやすい―ところ。紀伊半島大水害では県内で土砂災害による被害が多発した。また、今年7月の九州北部豪雨は、同じ場所に強い雨が長く降り続いたことによって発生。土砂だけでなく大量の流木が発生したことで被害が増大したと説明した。頻発する土砂災害に備えて、吉村副センター長は、砂防堰堤(えんてい)の整備などのハード面のほか、ソフト面では土砂災害防止法の改正や防災訓練や防災学習などを実施することで、多くの人に危険性を知ってもらう取り組みに力を入れていると紹介した。
 同センターは、那智川流域の住民への聞き取りを通じて、被災時刻や時系列の被災状況、家屋内部の被害状況など水害の実態を把握。「早い段階での避難体制」「避難判断のタイミング」「安全な場所への避難方法の確立」が課題だと分析した。次の世代に災害経験を伝えていくための取り組みの一環で、同町立市野々小学校で防災教育を実施。子どもたちに映像資料を見せ、土砂災害に関する実験や風化した岩石を触るなど、児童に「体感」を通して理解を深めてもらった。取り組みを踏まえ、将来的には地域主導で防災教育を進めてもらうのが理想だとの見解を示した。
 土砂災害から身を守るために▽通常とは異なる雨の降り方▽河川の水位▽斜面の状況―など普段との違いを確認するとともに、防災情報を参考にして的確な避難をすることが大切だと注意喚起された。
 この後、「頻発・激化する豪雨に対する避難のあり方」と題したパネルディスカッションが行われた。この中で、水害当時、最前線で指揮を取っていた寺本眞一町長は「川の氾濫への備えはある程度警戒できていたが、山側からの土石流については十分な備えができていなかった。近年、いつ発生するか分からない集中豪雨にどのような対応ができるのか、今回の話を聞いて大変参考になった。地域の皆さんの協力を得て、避難困難者をいち早く避難所に収容できる体制づくりをしていかなければ」と話した。

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