防災へ祭りの連携生かせ

 当地方を襲った未曾有の災害「紀伊半島大水害」から間もなく6年が経過する。あの災害以降、毎年のように全国各地で豪雨災害が発生している。世界的な気象条件の変化により、いつどこで発生しても不思議ではない。当地方だって再び襲われる可能性もある。未曾有の災害を教訓に、被害をなくすための取り組みを意識しなければならない。9月は防災月間。地震や津波を含めた自然災害への備えをあらためて見直す機会にしたい。
 防災の基本としてよく言われるのが、自助、共助、公助。公的機関からの救助はあてにできないから、まずは自分で助かり、次に家族や隣近所で助け合うという考えだ。実際、平成7年の阪神淡路大震災では、家屋や家具の下敷きになって救助された人の9割が隣近所によるものだった。昔に比べると当地方のような田舎でも近所付き合いが希薄になりつつあるが、有事の際に110番、119番では助からない命があることを理解し、近所付き合いは大切にしておきたい。
 各町内会や自主防災組織の単位で、訓練や講習を定期的に開いているところは多い。しかし、参加者の顔触れはどの地区も年配者中心で若い世代が少ない。職場や家庭で中心となる世代はおのずと、発災後の救助・復旧作業で中心的な役割を担う世代でもある。若い世代が参加できる環境づくりを年配者が作ってあげることも一つかもしれない。
 そのヒントに地区の祭りがある。先日開かれた新宮市の佐野柱松では、実行委員会が若手から中堅、ベテランまで連携。9月にある三輪崎八幡神社例大祭で活躍する三輪崎郷土芸能保存会も同じく各世代が抜群のチームワークで一つの目的に向けて取り組んでいる。祭りに関して言えば、後継者不足に悩む地区もあるが、幅広い世代の融合が理想の姿だ。
 この流れを防災にも生かせないか。集まった少しの時間、地区の防災を考えてみたり、祭りで見せる積極的な姿勢を地区でも発揮したりしてほしい。「被害者ゼロ」という一つの目的に向け、中堅や若い世代がリーダーシップを発揮し、ベテランが脇で支えるという構図ができれば頼もしい。それがモデルになれば、ほかの地区への広がりも期待できるだろう。

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